BISモニターとは? 〜正常値・SR・SEFの見方と麻酔管理を解説〜

BISモニターとは?麻酔深度を評価するモニター

🟦BISモニター(Bispectral Index)は、全身麻酔中の麻酔深度を数値化して評価するモニターです。

全身麻酔中の鎮静評価として広く用いられているBISモニター。
しかし実際の臨床では、「BISだけ」を見ていてもうまくいきません。

BISはあくまで“麻酔深度を考えるための材料の一つ”であり、血圧・脈拍・呼気麻酔濃度・筋弛緩状態などを総合的に評価することが重要です。

今回は、手術室看護師・特定看護師・研修医向けに、BIS正常値、SR・SEFの見方など、BISモニターの基本から実践的な見方、麻酔管理での活用方法をわかりやすく解説します。

👉その他、研修医やOPナースに必須である麻酔管理の知識についてはこちら


🟩BIS値の見方と適正範囲

BIS値は0〜100で表示され、全身麻酔中は一般的に40〜60が適正範囲とされています。

BIS値状態
100覚醒
60前後鎮静
🟢40〜60全身麻酔適正範囲
0平坦脳波


🟦BISモニターの貼り方

① 額の皮脂を除去
まずアルコール綿で額の皮脂をしっかり拭き取ります。
皮脂が多いと接触不良となり、SQI低下の原因になります。

② センサー貼付位置

 ①:額中央(鼻橋から約5cm上)
 ④:眉毛のすぐ上
 ③:こめかみ

👉貼付後は5秒程度しっかり圧着します。

🟩BISモニターで重要な4項目

🟢① BIS値

目標:40〜60

 ↑高い → 浅麻酔の可能性
 ↓低い → 深麻酔の可能性

⚠️ただし、BIS単独では判断しません。

⚠️BIS低値=安全ではありません
低灌流・低体温・過鎮静・脳波抑制でもBISは低下します。
必ず循環・呼吸・ETCO₂・麻酔濃度と合わせて総合評価します。

🟡②EMG(筋電図)がBIS値に与える影響

EMG(筋電図)が強いと、前頭筋の筋活動をBISが脳波と誤認し、実際よりBIS値が高く表示されることがあります。
目標:30以下

特に、筋弛緩不足、疼痛刺激、シバリングなどで上昇しやすいため注意します。

⚠️BIS値=浅麻酔とは限りません

EMG混入による"偽高値"に注意します。

🔴③ SR(Suppression Ratio)とは?

SR(Suppression Ratio)は、脳波が抑制されている割合を示す指標です。高齢者や深麻酔時に上昇しやすく、持続的な上昇時は過鎮静に注意します。
目標:0%

🔵④ SQI(Signal Quality Index)

目標:100%

信号の信頼度です。

低い場合は、電極接触不良、発汗、センサー剥がれなどを確認します。

🟥BISモニターを見る時の基本

重要なのは、「BISだけで判断しない」ことです。

BISは、電気メス、EMG、低体温、低灌流、アーチファクトなど様々な影響を受けます。

そのため、
✅血圧
✅心拍数
✅呼気麻酔濃度
✅ETCO2
✅筋弛緩状態

を合わせて総合的に評価することが重要です。


🟦BISモニターがある場合の実践的評価

BIS値BPHR考えられる原因対応
正常〜↑疼痛刺激・鎮痛不足鎮痛薬増加
正常正常EMG混入・筋弛緩不足EMG確認、必要時筋弛緩薬
↓〜正常鎮静不足鎮静薬・吸入麻酔薬調整
正常鎮痛・鎮静過量麻酔薬減量
深麻酔麻酔薬減量
正常循環血液量不足輸液
正常麻酔薬による血管拡張昇圧薬


🟨BISモニターがない場合

この場合は、血圧、心拍数、呼吸、発汗、体動などから総合的に判断します。

👉特に血圧と脈拍は重要です。


🟥高血圧なのに脈拍が上がらない時は?

術中、血圧↑、HR正常という状況は意外と多いです。

考えられる原因は、浅麻酔、高CO2血症、高血圧既往、高齢者の疼痛反応、反射性徐脈など。

👉単純に「痛み」と決めつけないことが重要です。


🟦降圧薬を使う前に確認すること

まずは、

✅麻酔深度
✅鎮痛
✅呼気CO2
✅昇圧薬使用状況

を確認します。それでも高血圧が持続する場合に降圧薬を検討します。


🟩まとめ BISモニターは麻酔深度管理に重要

BISモニターは、全身麻酔中の麻酔深度を客観的に把握するために重要なモニターです。

BISモニターは非常に有用なモニターですが、

🔴「BIS40〜60だから安心」ではありません。

重要なのは、BIS、EMG、SR、血圧、心拍数、呼気麻酔濃度、ETCO2などを総合的に評価することです。

🟦BISモニターは“答え”ではなく、“麻酔深度を考えるための補助ツール”として活用することが重要です。

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